母は高校一年生の頃から、見合いの話を勧めてくる。
それがもう一年も同じ事を言われ続け、嫌気がさしていたとこだ。
「あなた……恋人がいるわけではないのでしょう? だったら、将来の為に婚約を決めてちょうだい。この、蓮家に相応しい人と必ずね」
名門……と言っても、そんな大した物ではない。
『蓮間』は昔からある由緒正しき家柄であるが、他にももっと有名な名家やお金持ちは周りに居る。
確かに蓮間には道場もあり、土地も広いので、一見凄いとこに見えるが、中身はそうでもなかった。
そんな他人からの見た目と、母の古臭い性格により『名家』と言う押し付けがましい見合い結婚を要求されていた。
雫は話がまとまらない内に立ち上がり、キッパリと断った。
「私は自分で将来の相手を見つけます。お母様に言われずとも、私自身に合う人を決めますので心配しないでください」
それだけ言い、重苦しかった襖のドアを開けて、その場を去って行った。
全くもって、つまらない話に付き合わされた。
気分と汗を共に洗い流す為、雫はシャワー室でシャワーを浴びようと風呂場に向かった



