ジジジジジ……
暑苦しい日差しが、肌を焼き付ける。
東京都のあるスクランブルの交差点。
汗を拭きながら、人混みの中を並んで歩く。
この人達はどこから来たのだろう?
そう言わんばかりの溢れた通行人が青色の信号の歩道を渡り歩く。
車もいつものように渋滞しており、その窓から会社のネームプレートを首からぶら下げたサラリーマンが、暑そうに手で自分を扇いでいた。
見上げれば青い空に入道雲。
ビルのビジョンには、ニュースキャスターが画面の向こうで涼しげに話している。
『顔を見せない総理大臣の導入から10年が経ちました。新たな総理大臣となった矢野総理は、任命二年目にして日本経済をここまで立て直しました。このグラフを見ますと、その推移が……』
そんな事を言っても、この暑い中誰も見ないよ……
ニュースキャスターはエアコンの下に居るからいいだろうが、私達は違う。
そう思いつつも、再び人混みをかき分け歩き出した



