帰る場所など無い。 帰る理由も無い。 だってあそこにはもう、何も残ってはいないのだから。 祈る必要もありはしない。 思考することも必要無い。 すべて暗い海の底に。 苦しくても悲しくても仕方が無いこと。 ただひたすらに残る喉の痛みを、「寂しさ」と名付けて哀れんでいる。