「あ…葵衣さん!」




そこにいたのは、課長こと葵衣さんだった。




会社帰りなのか…スーツにビジネスバッグ。




「何してるの?こんな時間まで…危ないだろ」




葵衣さんはあたしに歩み寄り、顔をしかめた。




「あ、あのね!汐莉と飲んでたんだ。久しぶりだったから…」





「桐谷さんと?」




「うん。楽しかったよ?」




あたしがニコッと笑うと、葵衣さんはいきなり抱き締めてきた。




「あっ…葵衣、さん?」




密着する体にドキドキが止まらない。




あたしはただ、葵衣さんのスーツにしがみ付いていた。