極悪彼氏

やっぱり自分から持ちかける別れ話ってのは面倒だ。



「とにかくもうくんな」

「絶対許さないから」

「好きにしろよ…」



バタバタと、置いていた荷物を持って出て行った。



静かになった部屋に、ゲンジのタバコの煙。



「ムーのこと守れよ」

「何で俺が」

「巻き込んでんじゃねぇか」

「…………」

「お前がムーに構うと波紋があんのなんか当たり前だろ。多くの女はタダでさえコタの女になりてぇって思ってんのに」



そんなの知らねぇよ。



周りが勝手にそうしてるだけだろ。



倒れ込むようにソファーにカラダを投げた。



今はゲンジがいるから少しマシかも…。



「薬、どこやった?」

「捨てた…」

「オイオイ、寝れねぇだろ」

「呼べよ、アイツ」

「来るかわかんねぇぞ」



俺が知らないケータイの番号をゲンジが知ってて。



ちょっと腑に落ちないけど睡魔には勝てなかった。