極悪彼氏

番号は知ってる。



俺の存在も知ってて、昔から心配してくれる人。



「家帰ったら…オヤジが倒れてたから…」

「たおっ!?倒れっ!?今どこ!?」

「病院だけど…俺…どうしたらいい?帰った方が…いいよな?」

「待ってて!!すぐ行くから!!」



でもオヤジはテレビに毎日ってほど出てる人気者で…。



俺は…隠し子。



いちゃダメだろ。



オヤジの人気、俺なんかで落とすわけにいかねぇだろ?



葛藤した。



オヤジがこのままどうにかなったら?



俺はまたひとりか?



もう帰ってこねぇって…あり得んの?



でも目が覚めて、なんてことなく元気になったら?



俺の存在が世にバレるわけにはいかない。



俺はどうしたらいい…?



「もしもし?」

「夢羽…」

「どうしたの?」

「俺…どうしよう…」

「コタ?何かあったの!?」

「オヤジ…倒れたから…今病院で…。帰った方がいいよな?」

「京太郎さんが!?」



誰か…答えをくれ。