ずっと憧れていた制服に袖を通し、私は早めに家を出た。
私、広瀬紗弥は今日からこの桜華[おうか]学園の一年生。
ここの学園は、私が通っていた中学校からはとても遠い。
だから、知り合いも全くと言っていいくらい、いない。
なんで、ここを選んだかって言うと・・・。
1、制服が可愛い。
2、進学校だけど、校則が緩い。
3、サッカー強豪校だから。
サッカーするのは苦手だけど、観戦するのは大好きなの!
「紗弥ー。朝からニヤけすぎ!」
「っ!! 雅。いつからいたの?」
「今、さっき。」
雅こと青崎雅は、数少ない知り合いの中の一人。
そして、私の大事な親友。
「紗弥!クラス一緒。」
「本当!?」
「あっ、王子も一緒だ。」
ん? 王子?
「雅、王子って・・・?」
「知らないのー!?ほら、サッカーで有名の桐島藍だよ!」
言われてみれば、聞き覚えのある名前。
「まあ、後でわかるでしょ。それより、入学式始まっちゃう!!!」
体育館に向かう途中、満開の桜を春風が散らす。
まるで、私達の入学を喜んでいるかのように。
入学式を終え、私と雅は1-3へと向かう。
教室に入ると、大勢の女子がなにやら群がっていた。
「あれが、桐島藍だよ。早速、人気ですなー。」
顔、見えない・・・。
とりあえず、私達は窓側の席に座る。
ガラッとドアの開く音。
あれが担任かぁー。
入学式なのにもかかわらず、ジャージ姿。
きっと、体育の先生であろう。
「お前らの担任の、関口だ。担当教科は見てわかる通り、体育だ。」
やっぱり。
「早速だが、入学式が長引いてしまったため、みんなは部活見学に行ってくれ。」
部活かー。何入ろう・・・。