ガラリと店に入って来たのはアタシよりも年下な感じがする男性。

男性は静かにカウンターに腰かけた。

「どうぞ。こちら当店のメニューでございます。」

アタシも静かにメニューと灰皿を差し出す。

長谷川さんも静かだ。

そんな中、静寂を壊すのはもちろんこの人。

「お〜♪久々やん♪」

店長だ。

やっと帰ってきたか、このサボり魔め。

「あれから見ぃひんかったからこの店気に入らんかったんやろなって心配なったけど、なんや、気に入っててんなぁ♪」

店長は休憩から帰ってきて早々よく喋る。

男性も「はぁ、まぁ…」と押されぎみだ。

店長と男性は面識があるみたい。

アタシは見たこと無いお客さんだ。

会話的にアタシが休みの時に来たお客さんなのかな。

「新しいお客さんが来たことだし、僕はもう帰るね。」

長谷川さんは指で×印を作るとそう言った。

「今日もありがとうございます。」

と言うアタシと、

「なんでやねん。」

と言う店長。

え。