ん、知ってる。



「ぢゃ、店長と交代してくる。あ、今日の賄いアタシの大盛りね!」

アタシは「ごちそうさま。」と大ちゃんに言い店長の元へ向かった。

店長は長谷川さんとのおしゃべりに夢中なのかアタシが来たことに気付かないみたい。

賄い出来たから呼ぶように大ちゃんに言われたけど、邪魔しちゃ悪いし先に溜まったグラス洗おっと。

店長の後ろを通ってカウンターの中にある流し台に向かう。

「やっと出てきたねぇ。」

途中で長谷川さんに声をかけられた。

「待ってたよ。さぁさ、飲んで。」

んー…、今日はあんまり飲む気分ぢゃないんだよなぁ…。

少し渋ると店長が、
「何飲むんや?」

はい、店の利益に繋がりますもんね、わかります。

では、頂きます。

長谷川さんはシェイクする姿を見たがる人だからアタシはボストンクーラーを飲むことにした。

まだまだ修行中でバーテンダーの風上にも置けないアタシだけど、ボストンクーラーは昔から好きで何度も作って唯一店長に褒められたカクテル。

今ではアタシの一番得意なカクテルだ。