ん、知ってる。



次にアタシが向かった場所は、厨房。

厨房に居る大ちゃんに挨拶するためだ。

「おっはよー。」
「おーっす。」

大ちゃんは店長の賄いを作りながらアタシに挨拶した。

ふむ、今日の賄いは茸クリームパスタか。

大ちゃんの隣に立ち出勤早々賄いチェックするアタシ。

大ちゃんの賄いは凄く美味しい。

アタシがこの店を気に入ってるもう一つの理由でもある。

大ちゃんは色々相談にも乗ってくれるし。

「で、ダメ彼氏と別れられそうか?」

大ちゃんは小さい器にアタシの味見用パスタを入れながらアタシに声をかけた。

それを無言で受けとるアタシ。

数分の沈黙の後に、先に静寂を破ったのはアタシのパスタを啜る音。

「ズズッ…。」
「おい、パスタは啜るもんぢゃねぇぞ。マナー悪いな、お前。」
「知ってるよ!そんな怒んなくたっていいぢゃん!」

大ちゃんは「別に怒ってねぇけどさ、もっとこう…」とかぶつぶつ言いながら店長の賄いを盛り付け始めた。