優美は軽くため息をして、あたしの手をひく。


「早く行こー!」



3組まで走るあたしたち。


階段も駆け上がってきたため、少し息切れ。



でも何だかおかしくて笑ってしまう。


優美といると楽しい。



一緒にいて気を使わないし、自然と笑顔になれる。


優美が親友でよかったと、本当に思う。



「うげっ!」


あたしより先に教室に入った優美がなぜだか不満げ。



「優美?どしたの?」


あたしも教室を覗き込む。



教室の中には一人だけ。


窓際の一番後ろの席に、金髪に近い色の髪をした男の人が寝ている。



あの髪色の人って…。


「あの人、臼田羅衣弥(ウスダライヤ)だよ。」



あぁ、やっぱり。


あの有名な臼田くんだ。