「これも積んで」

私の荷物をトラックに積んでいる。ほとんど新しい家具や電化製品にしたため、持って行く物は衣類や雑貨など細かい物ばかりだった

少し空っぽになった部屋を見つめ忘れ物がないか確認していた

ふと、思い出しクローゼットの中に頭を入れ中を探し出した

「あった…」

私が見つけたのは小さい箱。この中には健太とお揃いの指輪が入っている。指輪を出し、私は指輪を見つめていた

置いていくか、置いていかないか、悩んだ

もうはめることはないけど、どうしても持っていきたいという気持ちになり、私は自分のバックに詰め、東京へ持っていくことにした

「トラック出るわよ」

「うん」

当分帰って来ない部屋を後にし、私は家族と一緒に家を出た

玄関で凌が待っていた

「凌どうしたの?」

「見送りに来た」

「明日、あっちで会えるのに」

クスッと私が笑うと

「いいじゃん」 

照れ臭さいのを隠すように手の甲を口に当て、私から目を反らした

「着いたら電話するね」

「気を付けろよ」

「うん」

私は凌に手を振り、凌も私に手を振る。私はお父さんの車で空港まで行き、車の中でじっと窓の外を見ていた