恋色語

部活終わり、一人で清林総合病院へと向かった。空は綺麗な茜色に染まっている。


「3階の7番目…307号室。ここね」


片桐 絢香とプレートに書いてある。多分、神宮寺さんが言ってた片桐のお姉さんなんだろう。


「スー…ハー…。…いくか」

トントン…。


………。ん?ノックしても返事がない。中の様子みてから入ってもいいよね。

ドアノブに手をかけ、違う手をそっと胸に置く。


やがて…


「失礼します」


部屋へ入った。
窓から夕暮れの光が差し込み、部屋はオレンジ色に輝いていた。


「えっ…?」


そして…足が止まった。ベッドで横になる片桐 絢香を見た瞬間に。


「う…そ…」


体が動かない。足すらも凍りついたように…。


「ど…して…」


ドサッと鞄が手をすり抜けた。うまく声が出せない。私は目の前の人に釘付けになっていた。


「どうして私がいるの?」