私は帰宅部。五月ちゃんも帰宅部。放課後、二人で隆志君が部活で練習している光景を、体育館の二階から、座って眺めていた。


「みいちゃん、知ってる?」
「はい? 何をですか?」
 私が視線を向けると、五月ちゃんはその整った顔に、悪戯な笑顔を浮かべていた。


「最近、男子がみいちゃんの事、隠れアイドルにしているの……」
 ……はい? そ、それってどういう意味ですか?


「この前の文化祭の演劇の時、みいちゃん初めて眼鏡外したよね? あれからみいちゃんを狙っている男の子、結構多いんだよ~」
 わ、私みたいな目立たない女の子に、そんな事あるはずがないのに……。


「じょ、冗談ならやめて下さいよ……」
 私は苦笑するしかない。だって私は、人と話す事自体が少なくて、今日みたいに五月ちゃんみたいな、性格の優しい女の子と話せるだけでも嬉しいのに……。


「……で、これから先が本題なの……」
 ……本題?