しかし、そう安心したのも束の間。
私は何者かによって左腕を捕まれていた。
「な……?!」
驚いて振り向けばそこにいたのは見知らぬ男達。
全員黒いヘルメットを被り、顔を隠していた。
「……」
理解が出来なかった。
これは一体、どういう状況?
結果だけ見れば、こいつらは私の自殺を止めたわけだけれど、雰囲気が、普通じゃない……
ヘルメットの目元部分から僅かに浮かぶ目には、何か危険なものを感じる。
「……」
ゴクリと、唾を呑み込む。
未だに捕まれたままの腕からは、ひやりと異様な冷気が込み上げてくる。
「は、離してよ!」
怯みながらも、なんとか声を上げた。
しかし、男達は全員黙ったまま。
気味が悪い……!
私は乱暴に男の手を振り払う。そして、制服のスカートを握り締めた。
「黙ってないで、何とか言えよ!」
「……クク」
先頭にいる男から僅かに、けど確かに聞こえた笑い。
私の頭では煩わしい程の警報音が鳴り響いていた。
ざわざわと、街に僅かに植えられた木々が騒ぐ。
――風が、強くなった。
そう思った次の瞬間、私は頭を殴られ、意識を手放した。