The殺サィト

「そうですね……でも、可愛いです」

艶やかな長い黒髪を揺らしながら、早苗が悠大の上半身を自らの膝の上に優しく運ぶ。

その見事な気遣いに、私は感心する。早苗はまるで慈母のような顔つきで悠大の寝顔を見ていた。……もしかしたら彼女には、悠大くらいの弟がいるのかもしれない。


「いーなぁ、早苗ちゃんの膝枕っ! オレもやってほしー!」

翔也の冗談だか本音だか知れない発言に、みんなの顔が僅かに綻ぶ。
早苗だけはその可憐な顔に戸惑いを浮かべていたが、そんな姿ですらも可愛く映る彼女は、本当に美少女なのだと思う。




「ねぇねぇ、いーじゃん。ケー番教えてよ」

ふと気がつけば、このほんの短時間の間に、紗理奈が響吾の魔の手に引っ掛かっていた。こんな状況でナンパできる響吾に、ある種の尊敬を覚えた。

しかし紗理奈にとっては本当に迷惑な存在だったみたいで、あからさまに嫌な顔をしていた。

「だから、今ケータイ無いから無理でしょ」

「教えてくれたら覚えるし」

「あっそ。ていうかあっち行ってくんない? 話し合いの邪魔しないで」