The殺サィト

しかし、次の瞬間何かがふわりと私に覆い被さり、音は小さくなった。

「?」

同時に鼻を霞めた甘い香りに、私は戸惑う。
背中から生暖かい温度。――誰かに、抱きつかれてる?

その「誰か」は、私を後ろから抱き抱え、結果的に私の両耳を塞いでくれているようだった。


――何故?

ようやく思考が追い付いて、私は後ろを振り向く。


「……ぁ」

そこにいたのは、制服であろう赤いチェックのスカートに黒いキャミソール一枚の、派手な女の子だった。
長い栗色の髪はくるくると緩く巻かれ、ぱっちりとしたグレーの瞳に長い睫毛。
真っ先に綺麗で大人っぽいという印象を受けた。


彼女が、先程床で寝ていた内の一人であるということに気付くのに、少し時間がかかってしまった。

見れば、他のみんなもこの騒音のおかげで目覚めたようだった。みんな恐怖に怯えた顔つきで、必死に耳を抑えていた。
翼も涼しい顔をして耳を塞いでいる。……本当に嫌な感じの奴。




それから暫くすると警報はようやく鳴り止み、部屋には静寂が広がった。