The殺サィト

「! 大丈夫か」

大して心配もしていないくせに、翼はそんな私を庇うように腕を延ばす。

「……へいき」

延ばされた腕を払い除けながら、私はスピーカーを睨んだ。

もし頭痛と目眩が私を襲わなかったら、私は自我を失って暴れ回っていたかもしれない。


――純粋な恐怖の焼き付いた、記憶。

私はどうやら、いつになってもアレから逃れることは出来ないらしい。




『……まあいい。そろそろゲームスタートといこうか!』

少しの間を空けてから、男は一段と気味の悪い声でそう告げた。

「ゲーム、ね……」

翼が冷めた目つきでスピーカーを見つめているのが分かったのと同時に、騒音としか言い様のない激しい警報が部屋に鳴り響いた。




「……!!」

その音は余りにも巨大で暴力的だった。
頭の中を鷲掴みにされているような不快な感覚に襲われ、息をするのもままならない。

「……っ」

耳を塞ぐことも忘れ、私は苦しみに耐える。

もしかしたら叫んでいるのかもしれなかった。しかしそんな叫び声ですら綺麗に消し去ってしまうほど、凄まじい警報音だった。