桜月夜




凜は沖田に抱き着く腕の力を強くして、ぼそっと呟く。


「龍飛(リュウヒ)と総司の好きは違う」


その声は、疑われた事に少しむっとしているようだ。


「私が好きなのは総司だもん……」


付け足されるように言ったその言葉に、珍しく沖田が頬を赤く染めた。

それに気付かない凜は、追い撃ちを掛けるように「それに、」と続ける。


「今恋仲なのは総司でしょ」


拗ねたように言うのが余計に可愛い。

ツンデレの特性と言うものだろうか。


「もう知らない」

「え?」


凜の視界が回り、天井と沖田が視界に広がる。

いつかのように、危険な状況だ。


「凜が可愛い事言うから」

「う……」


やばいと思うも時既に遅し。


「いつも素直ならいいのになぁ」

「う、煩い…」


こんな事なら素直にならなければ良かった、と素直になった事を初めて後悔した。

でも、もし今素直になるとしたら……。