悔しくなって、凜は沖田に抱き着く。


「な……に?」


やっと沖田に余裕がなくなって来た。

それが凜の狙いらしい。


「総司、好き」

「へぇ……やけに素直だなぁ」


凜の頭を撫でながら、沖田は様子を伺う。

凜は顔を上げて沖田を見つめた。


「……総司って………」

「ん?」


凜はそう言い掛けて、口を閉ざす。


「何、どうかしたの?」


先を促す沖田に釣られて、凜は渋々といった様子で先を紡いだ。


「今まで……恋仲、とか…いたのかなって……やっぱりいい」


小さな声だったが、沖田の耳にしっかりと届いた。

ニヤリとした笑みを浮かべて、凜に口付けをする。


「いなかったよ。好きな子すらね」


顔を赤くしながら、凜なまた沖田の胸に顔を埋めた。


「そう言う凜こそ、好きな人とかは?」


早瀬(ハヤセ)さんとか、と少し機嫌が悪そうに続ける。