「・・・しかしあっついなこの部屋」

9月も終盤に差し掛かるというのに、異常な暑さな部屋。
電気代の節約のためにクーラーはつけない。
というか、こんなクソ広い部屋じゃクーラーなんかつけたって意味を成さない。
高校生の一人暮らしにこんな広い部屋ってありえないし。
死んだお父さん、おじいちゃん、おばあちゃんが残してくれた、立派な一軒家。
そこであたしと三人で住んでいたんだけど・・・

・・・考えちゃいけない。

お母さんとは月に何度かの連絡のみ。
実際に会うのはほとんどない。
最後にお母さんと会ったのは、お父さんのお葬式だった。
お父さんとお母さんは離婚をして、あたしはお父さんに引き取られて。
おじいちゃんとおばあちゃんも一緒にここに住んでいた。

でも、おじいちゃんは中学三年に上がる前に病気で死んでしまった。
おじいちゃんと仲が良かったおばあちゃんも、すぐにおじいちゃんの元へ旅立ってしまった。
そして、今年の春。
大音量で音楽を聴いていたところ、信号無視をしたトラックに轢かれてお父さんが死んだ。

みんな、居なくなってしまった。

この大きい家で一人、明るく気丈に生きてきたつもりだけどたまに凄く悲しくなる。
色んな人にお母さんと住めって言われたけど・・・
ここを出てく気にはならなかったし、お母さんも何も言わなかった。