「俺帰るね」
靴を履いてそう言うと女が「もう？」と言いながら近寄ってくる。
「ごめん」と振り向いて、抱きしめる。
「また来るから、サキ」

家を出て俺は急いで自宅へと走った。

「アキですけど！」

急いで家へ帰ると、そっと鍵を開けて玄関の扉を開く。
靴を脱いで二階へ上がろうとしたそのとき・・・

「シンちゃん」
背後からいきなり声をかけられてビクッとなる。
起きてたか・・・
そのまま振り返らないで居ると、
「まーたこんな時間に帰ってきて」
聞きなれた声。

「婆ちゃん、もう起きてんのかよ」

俺と一緒に住んでいる相手。
俺の父親のほうのお婆ちゃん。
そんで、俺と婆ちゃん、＋爺ちゃんとの三人暮らし。

「シンちゃんあんまり悪いことするんじゃないからね」
「分かってるよ、爺ちゃんは？」
「まだ寝てるからゆっくり上がりな」
厳しいことを言いつつ、優しくしてくれる婆ちゃんが俺は大好きなんだけども。
最近、どうも俺が朝帰りばっかりしてるから爺ちゃんが怒ってるらしく。

昨日なんか「もう家に帰ってくるな」とまで言われたし。