さっきから何度も何度も繰り返される音楽。
このバンドってやっぱ音がいいんだよなぁ。
途中から入ってくるギターソロとか、アレンジの仕方が・・・

「シンってば」
肩を叩かれて閉じていた目を開く。
隣を見れば、見知らぬ女。誰だっけこいつ。
つーかなんで裸なの。
「やっと起きた」

体を隠す仕草もなく、ただこっちを見ている。
「誰だっけ?ていうかなんでここに居んの?」
イヤホンを外しながら問うと、女は近くにあったクッションを投げた。

投げたかと思うと、散らかっていた服を取り上げて出て行ってしまった。

「なんだよ・・・」
とか言う俺も、服を着ていない状態で。
あぁそういうことか、と今やっと気付いた。

そろそろ朝になる頃なのか、外は薄暗く時計を見た俺は「やべっ」っと慌てて服を着た。

服を着て玄関へ向かうと台所でさっきの女が料理をしていた。
・・・思い出した。
ここはこの女の家か。

なんかどうでもいい事はすーぐ頭から出て行っちゃうんだよな。