記憶の真ん中。


ズンズンと近づいていって詩歩の手にある買い物袋を遠慮なしに勢いよく奪った。


「早く来い、行くぞ」


そう言って歩いていく。

男達は「男いんのかよ」って言いながらふて腐れたように反対方向に歩いていく。



小走りで後から着いてきた詩歩の方を振り返って、

「お前がちんたら歩いてるからあんな奴らに目つけられるんだよ」

ほんとはこんなこと言いたくない。


「ごめんね、ありがとう」

涙目な詩歩を抱き締めたくなる。


「ごめんね、光ちゃん」

そう腕を掴んでくるから、軽い方の買い物袋を詩歩に差し出した。

詩歩は「そっか」って、何がそっかなのか分からんけど受け取とると、


空いた手で詩歩を抱き寄せた。

「無事でよかった」

はぁと息を吐きながら詩歩の頭の上に顎をのせた。


「光ちゃん、好き」

そう背中に回った腕を愛しいって思う。

一生傍においときたい。



お互いに空いた方の手を絡ませて俺たちは帰ってった。

さっきよりも近い距離で。

お互いの体温が直に伝わる愛しさを感じながら。