斗真くんは覚えてるかな?
あはは、そんな訳ないか
隣の席でも名前も顔も覚えてくれてないのに
でもあの日は私の大切な記念日
あの高校1年の寒い冬の日
耳まで凍りそうで、真っ赤なマフラーグルグルまいて
優ちゃんと雪が降りだした帰り道を歩いてた
『う〜寒いよぉ〜』
『うわ〜!寒いと思ったら道が凍ってるよ、菜々!』
『本当だ!優ちゃん足元、気をつけ……』
ズルッ━━━……
『ひゃっ━━……‥』
やばい!
人に注意しときながら自分が凍った道に足を取られた
『菜々!?』
なんとか踏ん張りながら、でもまったく効果がなくて前のめりで転けていく
咄嗟に手を前に出して顔を背けると、痛みがくる準備をした
ガッ━━━……!!
『うぐっ━━……!』