しかし、先ほどのカジノとは違い、一切の窓が無い。

そして、部屋を照らすための明かりではなく、派手な飾り付けのための明かりばかりが目立ち、異様な雰囲気をかもし出していた。


明らかに、恵理夜のような少女が居るべき空間ではない。

恵理夜は、完全に怖気づいていた。


だが、今入ってきたドアからは出られない。

その先は、オートロックで閉まってしまった恵理夜の部屋への階段しかないからだ。

仕方なく、他の出口を探すため、恵理夜は足を踏み出した。


「すごい……」


本当に、賭博を目的としたカジノ空間。

上のカジノは禁煙に対し、ここのカジノでは皆、煙草をくゆらせ高額のチップを山のように積み上げ熱狂していた。

春樹という守りの無い独りの恵理夜は、心細さを痛切に感じた。