「お嬢様」


と、デッキの入り口から春樹が声を掛けてきた。


「ごめんなさい、行かなくちゃ」

「ああ、またね。恵理夜クン」

「ええ、また」


恵理夜は、軽やかな足取りで青年の元を去った。