「まずは手当てを」


恵理夜をベッドに降ろし、用意させた救急箱を使って丁寧に手当てを始めた。

幸い、怪我らしい怪我は無かったため、すぐに手当ては済んだ。

ただし、拘束された二の腕と手首には生々しい鬱血が残っていた。


「痛みはないですか」


恵理夜は、何も答えずただ注意深く部屋の中を見回していた。


「お嬢様、」


恵理夜は、部屋の扉を睨んだまま春樹に言い放った。


「ベッドに仰向けになりなさい」

「はい?」

「早く」