執事と共に賭け事を。

春樹は、奥歯を噛み締めながらスローイングラインに立った。

つい、というわずかな間。

しかし、集中力を欠いた春樹にはブルに当てることなど出来るはずが無い。

ツバキの先攻が決まった。

春樹は、ダーツを回収するため、的へと歩み寄った。


「お嬢様、すぐにお助けいたします」


矢を抜きながら、強い口調で言った。


「接触は禁止よ。大丈夫、貴方が勝てば返してあげるんだから」


ツバキがくすくすと笑いながら言った。


春樹は、最大限の丁寧さを持って主人である恵理夜に一礼した。

猿轡を噛まされ、言葉を失い、自由を奪われた身である自分を主人と扱う春樹の態度を見て、恵理夜の目に力が戻った。


恵理夜は、強く頷いた。