「それであのっ……!」
「とりあえず、外出よう」
返事をする前に、山下くんに腕を掴まれて、体育館の外へ向かう。周りにいた生徒から、冷やかされる。でも今のあたしには、愛の炎を沸き立たせる武器なのだ!
山下くんと手を繋いでる。いや、正確に言うと山下くんに腕を掴まれている、か。それでも、体の一部が山下くんと通じ合って……
「……あ」
山下くんが立ち止まる。流れであたしも立ち止まった。だけど、山下くんを見ると誰かを見ていた。
「……葉月先輩」
出たよ、この女。もう、なんで昨日も来て今日も来てるわけ?
「紘樹、あの……」
「もう謝らなくていいから忘れてください。あのことも俺のことも」
「でも……」
「あんまりしつこいと、俺も黙ってないっす」
「…………」
「それに」
グイッ
「しつこいのは、この人だけで十分なんで」
山下くんに手を繋がれ、その証を葉月に見せつけるようにした山下くん。
「この人、昨日の受付の……」
「そ。だから、もういいですから」
すると、安堵の表情を見せた葉月。和解したってこと?でも、すんなり過ぎて納得いかない。


