その奥から、山下くんが歩いてくる姿が見える。
《でも、アンタのそのウザさも慣れてきたっていうか、当たり前になってきたっていうか》
一歩、また一歩、山下くんがあたしの元に近づく。同時進行で、あたしの胸の高鳴りは、どんどん大きくなっていく。
《アンタの告白も、真面目に受け止めようかなって思うようになった》
ついに、目の前に山下くんが来てそう言った。
《え……?それって……》
「いい加減分かってくんない?」
マイクのスイッチを切って、小さくため息を吐いた山下くん。
《あたし、バカだもん。だから、ちゃんと言ってくんなきゃ分かんないよ》
「あーそうだった」
それから、一息置いた山下くん。
「告白の返事、オッケーってこと」
嘘だ……嘘だ嘘だ。
《こんな時に……嘘つかないでよぉ~うわあ~ん》
「嘘じゃねぇよ。信じろよ」
《信じられるわけないよ~ひっく。だって、山下くんに嫌われてたし、見向きもしてくれなかったし……》
「ねぇ、そろそろマイクの電源切れば?」
《あっ!うん!》
ブチッ
今のあたし達には、不快な音が体育館に響いた。


