《だから、無視しないでよ。受付の係にも来てよ。仲直りしたいんだよ……》
山下くん……山下くん。もう体育館にはいない?教室に帰っちゃった?あたしの告白……聞いてもらえなかった?
「山下って俺っすか!?」
すると、手を挙げてそう言う男子の声がした。え……山下くん?
「こんな大勢の前で告白されるなんて、夢みたいだなーがはは!」
生徒の中から出てきたのは、山下くんとは大違いの男子生徒。顔も体もデカイ、愛しの山下くんとはかけ離れすぎて何も言えない。
《あのー君、誰?》
「山下っす!先輩から好きって言われて、ドキドキしてますぅ!がははっ!」
《あ、アンタなんか知らないよ!あたしが告白したのは、アンタじゃなくて……!》
《ストップ》
ニセモノ山下くんへ反論していると、またまた声が聞こえた。……って、この声って……
《やっ、山下くん!?》
「だから、僕のこと……」
《アンタじゃない!!ねぇ、あたしの大好きな山下くんだよね!?》
ニセモノ山下くんを退けて、姿の見えない山下くんを探す。
《山下って1年に2人いるからややこしいんだよ、アンタ》
山下くんの声だ……。


