体育館は熱気で溢れていた。みんな立ち上がっているため、なかなか前に進めず、そしてステージを見れない。
そして、やっとの思いで実行委員の列についた。すると、そこにいた若池先輩が驚いたようにあたしを見た。
「あれ?滝沢ちゃん、告白大会に……」
「すみません。辞退しました」
なんで?という顔をする岩池先輩だけど、この賑わっている体育館じゃ話しても伝わらない。あとで、というジェスチャーをして会話を終えた。
「俺もずっと好きでした!」
ステージ上で告白した女子へ向かって、客席にいた男子にスポットライトが当てられ返事をしている。
同時におめでとう!の祝福の声が飛び交う。いいな、こんな幸せな空間を味わえるなんて。あたしはちっとも喜べない。
両想い……ずるいよ。あたしだって、山下くんとカレカノになりたいのに。
「……っく、うぅ……」
どんどん幸せなカップルが誕生していく。それなのに、あたしは喜べずに涙をこらえながら見ていることしか出来なかった。
《ということで、今年はエントリー者全員、告白が成功しましたね!おめでとうございます!》
終わりに、司会者が嬉しそうに話す。


