「早くお昼になあれ~!」



次の日の1限目の休み時間、あたしは時計を睨みながら唸っていた。



「ちょ、沙良怖いって」



「だって、早く聞きたいんだもん!だから、こう念じて時計の針を動かせまいかと……」



「無駄な体力使うだけ。話すって約束したんでしょ」



念じることを止めたあたしは、夏生の言葉に頷く。昨日の夜、山下くんとのことを夏生にはメールで言っていたのだ。



「って、あ!」



「なに」



「お昼って約束しただけで、場所聞いてないよ~。これじゃどこで話すか分からないじゃん!よし!今から聞きに……」



キーンコーンカーンコーン♪



「タイミングが悪かったわね。ほら、授業が始まるよ」



ガクッ。神様、本当にあたしの味方をしてくれないのね!山下くんに会う時間もくれないなんて!1人でプリプリしながら、教科書を出したあたしだった。



そして、授業が終わる5分前。



「ん?弁当の匂いがするな?誰だ、飯食ってんのは」



し、しまった!コソっと早弁をしていたあたしだが、その匂いを先生に勘づかれてしまったのだ。