「山下くんを押した!?」



「故意的にじゃないよ。競り合ってたし、負けたくないって相手が思って、反射的にしたんじゃない?」



どこのどいつよ、山下くんを傷つけたのは!未来の嫁が許さんぞ!



「その人、すごい謝ってたよ。ほら、あの人だ」



夏生が指差すところを見てみると、ガタイのいい先輩が、山下くんにペコペコ頭を下げているところだった。



「まだ謝ってるし」



「いい人だ……よし!許してあげよう!」



「いや、アンタ関係ないから」



そこの先輩、次からは山下くんに怪我をさせないでくださいね?



「順番来たよ」



「待ってました~!」



キラキラとした目で山下くんを見つめる。



「なに」



「やだな~。ツーショットまだ撮ってないでしょ?だから、撮りに来たの!」



「もう片付けする」



「え!?ちょっ、前の子達は写真撮ってたよね!?」



「里津や先輩とは撮ってたけど、俺は撮ってない」



写真は嫌いだから、と付け足した山下くん。周りを見てみたら、たしかに他の応援団の姿もあった。



「ど~してもダメ!?」



「無理」