「山下くん、痛くない?」
「痛いに決まってる」
「そうだよね。代わってあげたいよ~」
山下くんの痛々しい傷を眺めながら、ベッドの上からため息をつく。
「アンタこそ大丈夫なの?」
「へ?」
「体調、悪いんでしょ」
目線は合わせてくれないものの、湿布を貼るサイズに切りながら言った山下くん。
「心配してくれて……」
「里津の姉ちゃんが言ってたから」
「今はもう平気!山下くんの顔が見れたから、もうどこまでも走れちゃう!」
「はいはい」
そしてまた、黙々と傷の手当てに入った山下くん。んもう!本当なのに~。
「ねぇ、綾ガキと写真撮った?」
「綾ガキ?誰?」
「あのセーラー服のぶりっ子だよ!」
「横山のこと?撮ったけど」
「撮ったの!?ずるい!あたしはまだ、山下くんの隠撮しかしてないのに!」
「…………隠撮したわけ?」
あ、山下くんの眉間のシワがよってる。怒ったかな?


