ストレートラブ






「日焼け止め塗りすぎて、顔色悪く見えちゃってるのかな?」



「冗談言わないで。昨日ちゃんと寝た?」



「山下くんの学ラン姿を考えてたら、なかなか眠れなくて」



「もう、あたしが山下くんの写真は撮っとくから、保健室で休みな」



「嫌だ!山下くんの出番はこの目で見るの!」



「でも」



「楽しみにしてたんだもん。好きな人の姿……生で見ていたいんだもん」



どんなに冷たくされたって、興味なく思われてたって、あたしは追いかけていたいもん。



「お昼まではテントであたしが面倒を見る。だけど、お昼からは保健室に行きな。最後の応援合戦と縦リレーの時に呼びに行く。縦リレーに山下くんが出ること、里津が沙良に教えててって言ったから。それまでは休むこと」



山下くんを激写する手を止めないまま夏生の話を聞き、うんうん頷くあたしだった。



太鼓の音に合わせて、機敏な動きを見せる赤団の応援団。長ランの団長よりも輝いて見えたのは、やっぱり山下くんだった。



「あ~間近に来て~山下く~ん」



嘆く声も届かず、始めの応援合戦は終わりを告げた。