そして、あたしは耐えた。体育祭の練習のおかげで、文化委員の話し合いに山下くんが来なくても、応援団の練習風景を見ることが出来なくても、愛のパワーでなんとか我慢した。
そして迎えた、待ちに待った体育祭当日。
「やっと……体育祭だ……」
「ちょっと、日に日に老いてるけど、体調大丈夫なわけ?」
「愛の……パワーで……乗り切ります」
見事にあたしは体調不良。正確に言うと、山下くん不足。そりゃ、朝夕の挨拶やアタックに励んだけど、お互い体育祭の準備が忙しくてなかなか顔が見れずにいたのだ。唯一、ゆっくり見れたのが、予行練習の時くらいだ。
「山下くんにとっては、好都合だったかもしれないけどね」
「夏生!?」
「嘘よ。ほら、整列しなきゃ」
あたしは青組で夏生は赤組。離れちゃって残念だけど、神様はあたしの味方をしてくれていた。なんと、山下くんは青組なのだ!
「山下く~ん!」
青組の1年生に向かって呼びかけると、不機嫌な顔が見えた。
「静かにして」
「同じ組でよかったよ~♪今日は2人の愛で体育祭を盛り上げようね!応援団も楽しみにしてるからね!」
「……早く列に戻って」
そんなこんなで、体育祭は幕を開けた。


