「山下くん!今の反則でしょ!?なに、ボディタッチされちゃってるの~!?」



「まだいたの?」



「まだ買ってないもん!ねぇ、いつもあんなことされてるの?軽くセクハラ!?」



「お客には何も言えないでしょ。ほら、さっさと決めて」



山下くんが相手をしてくれなさすぎて、悲し過ぎるよ。家の手伝いまでサボってきたのに。



「……コレにする」



「クロワッサンね。少し……」



「店内でお召し上がりになりますかって聞かないの?」



「……はぁ、言わなくてもココで食うでしょ」



「バレちゃってた?」



「それ以外無いだろ」



ため息をつきながら、クロワッサンを取り出す山下くん。あと1つ!と追加をすると、再びため息をつきながらもう1つ取り出した。



「飲み物は?」



「え?いらないよ~」



「あっそ」



会計を済ませると、手渡されたパン。さっきの人達のように、ハンドタッチをしようと思ったけど……



「触るなよ」



クギをさされ、渋々パンのみ受け取った。そして、店内にあるテーブルにパンを置き、ベンチに腰をおろした。



「長居はすんなよ」



「分かってる~!」