唐揚げ弁当に花火、そしてあたしと山下くんの間には、人1人半くらいが入る隙間。
夢みたい。山下くんと花火を見てるんだよね。あたしの手作りじゃないけど、同じ唐揚げ弁当を食べてるんだよね。
「山下くん、あたし幸せだよ~」
「は?唐揚げ弁当食べてるだけなのに」
「山下くんと食べてるから、いつもより美味しくて幸せな気分なの~」
「ふーん」
本当なのになぁ。無言でお弁当を食べる山下くんに目で訴えた。
「アンタの弁当はそっち」
もちろん届くはずもなく、そう言われた。ふんだ!山下くんのアホ!そこまで欲張りじゃないもんね!泣く泣く唐揚げを頬張った。
「ごちそうさま!」
それから、唐揚げ弁当を完食。山下くんも少し前に食べ終わっていた。そして、2人分のお弁当の空(から)を袋へ入れていると、山下くんが立ち上がった。
「もう帰るの!?」
「は?」
「まだ花火あるんだよ。まだ見ようよ!」
お弁当食べるだけなんて勿体無い!それに、もう少し一緒にいたいんだよ。
「飲み物、買ってくるだけ」
そう言って、近くにある自販機へ向かった山下くん。な、なぁんだ。よかった♪


