イエスともノーとも言わない山下くん。ただ、持っているコップをじぃっと見つめている。
「水」
「あっ、そうだよね!水を取りに行っ…」
あ、もう行っちゃってる。よっぽど水が欲しかったんだ。もぅ、あたしのことを欲しがってくれてもいいのにぃ。
「あ、沙良さん!」
すると里津くんが現れた。あたしは、お邪魔してます!と片手を上げた。
「もしかして、紘樹のおっかけで来たんスか?」
「里津くん、よくぞご存じで!」
「あははっ。沙良さんの態度、バレバレっスもん!」
あぁ…外見は夏生似だけど、可愛らしい弟くんよ。あたしの乙女心に気づいてくれてありがとう!
「あれ?姉ちゃんは?」
「夏生サマはお部屋のお掃除中でございます」


