幸い、前の本棚が壁となり、ドミノ倒しも起こることなく、絶妙な位置で停止している本棚。


犠牲となったのは本だけだろうか。


「や、やべー、怒られる……」


心当たり――本を八つ当たり気味にしまったせいだと自覚したか、冷や汗が出た。


弁償の文字がよぎる。辺りを見回して、誰もいないのを確認した。


「よし、俺は何もしてない。オーケー?たまたま、そう、たまたま、偶然の偶然に倒れただけだ、よしっ」


隠蔽工作を思いつく織部が早速、教師なりを呼ぼうとし。


「待ちなさい、そこの家畜」