「お待ちなさい」


槍を出し、幽霊に突きつけた。


ひっ、と小さく縮こまる幽霊。鼻先にある槍を見て、固まるが。


「ど、どど、どうしてっ。槍なんかなかったのに!」


「執事ですから、これぐらいは当然です」


「あー、なるほど!二次元原理だねっ。あり得ない場所から色んな物を出すあの原理だ!」


「……、おめでたい頭ですね」


実際には魔術だった。


“歪(ひず)みの魔術師”の異名を持つクラウンの魔術。


空間に歪みを作り、あちらとこちらへの“近道”を作るのだ。