息もままならない。下に“押し上げられている”ような錯覚に陥る。
「てめ、クソアマ!何しやがった、ええ!」
平然と立ち尽くすイリイアに唾を吐きながら言ってみせた。
本のページは開いたまま。
――魔物はしらないことだが、イリイアが現在持つ本は“神秘ノ書”であった。
“外因元素”と呼ばれる、光、闇、星の魔術が使える書物。
魔物が地に伏しているのは星の力であり、魔物の重力は通常の二十倍の負荷がかかっていた。
人間ならば、内臓が穴という穴から溢れそうなものだが、魔物にはまだ耐えきれるレベルらしい。
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