痛みに対して鈍感で、致命傷が軽傷たる魔物はイリイアに突っ込むが。
「神の鉄槌を」
目の前に、巨大な拳が現れた。
先ほどの墓人形なんか比ではないぐらいの大きさ。握られた闇色の拳は、魔物の拳にぶつかる。
「ちぃ……!」
相殺はしたが、闇の拳は壊れなかった。
先ほどの物体と違い、これは魔術による半物質だ。
壊れる概念などないらしく、拳をぶつけたあと、魔物は後退した。
「あー、あー、ああぁぁあ!うざってぇ!大人しく殺されろや!」
魔物の腕が膨張した。筋肉が軋み、風船のように膨らむ。
怒りに対して体が答えたようだ。リミッターが外れたらしい。


