それが引き金となったか、墓人形がその重たい手を魔物に振り下ろす。
地がめり込む。
クレーターのような跡が残るも、そこに魔物はいない。
「おにさんこちらーってか、ヒィハハ!」
死体の丘に腰かけて手を叩く魔物の“声”を確認し、イリイアは墓人形の手を横薙ぎに動かした。
イリイアの最大限の配慮でもあった。死体と言えども鞭打つような真似はしたくなく、あえて上からの圧殺ではなく、横からの殴打にした。これならば綺麗に魔物だけを吹き飛ばせるだろうが。
「ふざけろよ、なぁ?」
魔物の拳が迫り来る石の殴打にぶつかった。
車と車が衝突したような爆音。続いて聞こえたのはガラガラという崩壊音。


