彼に連れて来られたのは広間のような所で、恐い顔をした人とか騒がしい人とか、色んな人がいた。
楽しくて、楽しくて。
ずっと一緒にいたいとさえ思った。
それでも、私は帰る。
松平様を守る為に。
龍飛……師匠を、見送る為に。
「お世話になりました」
「いーえ。またいつでも遊びにおいで」
「そうだぞ、飯作りに来い!」
「違うだろ……。稽古もつけてやるからな」
「待ってるぜっ」
彼等が後に新選組となり、再会する――
それはまだ先の話。
私は皆に頭を下げて、笑顔で去っていった。
それから三日掛けて、京へ戻った。
会津藩邸に着くと、門番ははっとして私を見て慌てて中へ知らせに行く。
私も後から中へ入ると、龍飛が走って来た。
「凜っ!!」
力強く抱き締められ、驚いて龍飛を見上げる。


