両親が殺されて、私は松平様に付いて行くと決めた。

それから、私は松平様の側近の早瀬 龍飛に剣術を教わる事になったのだ。





「こら凜、俺の事は師匠って呼べっていつも言ってるだろ!?」


いつものように龍飛を呼ぶと、龍飛は怒った顔で凜に近付く。


「嫌よ、龍飛は龍飛だもん」

「くっそう、つんつんしやがって」


口答えすると、頬を引き攣らせて呟いた。


私は別に、龍飛が嫌いな訳じゃない。

ただ、松平様以外に素直になるのが苦手なだけだ。


「そんな事より、早く教えてよ」

「本当礼儀がなってないよなぁ……」


ぶつぶつ言いながらもちゃんと教えてくれる龍飛が、私は好きだった。

言葉に、出来ないだけで。



そんなある日、龍飛が私を甘味処に連れて行ってくれた。

それまでも何度か甘味を買ってきてくれていたが、態々、店に来た。