屍を越えてゆく




リサが机に置いていた果物ナイフを俺に手渡す。



「俺は、何人も殺してきた。幾多の屍を道にして、生きてきた」


「ええ」


「君の屍を、越えてゆく」


「そうしてちょうだい?アナタの道になれるなら、大歓迎よ」



俺はナイフの柄を握り、


「せめて、せめて安らかに――…」


グニュリと、リサにナイフがめり込む。


「天国へ、逝ってくれ」




微かに聞こえた
君の最期の言葉。




『――、ありがとう』




泣くしかなかった。

これで良かったなんて、きっと一生思わない。