屍を越えてゆく




しかし彼女は


「そう…。私は、リサ。リサよ、殺し屋さん」


ニッコリ笑っただけで、逃げはしなかった。

怯えてはいなかった。


ただ俺を、受け入れてくれたような気がして、嬉しかった。




―――――…



「失敗、ですか?君が?」


「まさかあの時間に起きているとは思ってなかったんで。ターゲットの両親がいない時間と、ターゲットの就寝時間を調べて、また試みます」


「そうですか。では、頼みますよ」


「はい」




そう、結局、殺さなかった。

そして、


『殺し屋さん。もし良かったら、明日の夜もきて?一人の夜は寂しいわ』

『…あぁ』


約束を、した。

彼女、リサのためなら、主に嘘をつくことも厭わなかった。